採択事例紹介

南海化学株式会社
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所在地
本社/大阪府大阪市、土佐工場/高知県高知市、和歌山工場・青岸工場/和歌山県和歌山市
主な業種
製造業
事業概要
化学工業薬品/医薬品/農薬/食品添加物等の製造販売
設立
1951年
従業員数
201人
認定支援機関
株式会社AGSコンサルティング
URL
https://www.nankai-chem.co.jp/
製造業 新分野展開 グリーン成長枠

水処理技術と自社製造の化学品を活用してセメント資源リサイクル事業に進出

当社は、基礎化学品や農薬等の製造販売、環境リサイクル事業を行う総合化学メーカーで、顧客ニーズにあわせて開発した化学品を自社工場で製造できるのが強みです。コロナに伴う需要減少や農薬使用量削減等によって売上が減少し、新たな事業の柱の構築が課題となっていました。

そのような状況の中、当社のパートナーであり、高知県内に工場を持つ大手セメントメーカーより、クリンカーパウダー(高塩素資源)から塩素分を除去することができないか、という相談を受けました。この依頼に応えるべく、塩素分の除去及びその過程で発生する洗浄ろ液の重金属処理の検討を重ねた結果、既存技術を基に独自の新技術を開発するに至りました。

この取り組みは、事業再構築補助金「グリーン成長枠」成長戦略14分野の「⑬資源循環関連産業」と「⑪カーボンリサイクル・マテリアル産業」の課題解決に貢献するものであり、補助事業を活用してセメント資源リサイクルの分野に進出する決断をしました。

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高塩素含有無機資源のセメント資源化を促進する脱塩事業

当社の土佐工場に脱塩設備と水処理設備と品質分析機器等を設置して「高塩素含有無機資源のセメント資源化を促進する脱塩事業」を開始します。セメントメーカーから高塩素クリンカーパウダーを受け入れ、当社の薬品と水処理技術によって塩素を除去して重金属類を回収、成分分析したのち、脱塩無機原料としてメーカーに運搬します。このリサイクル原料を使用すると、通常の天然資源セメント原料よりも焼成時のCO2排出量が30%削減されます。

脱塩工程で発生する上澄み水は、無害化した上で成分分析を行い、海洋に放出します(当社土佐工場は海域放流権を保有)。水質汚濁防止や海洋汚染防止、粉塵の取扱、また労働安全衛生等を適切に実行・管理するため、各種管理者や測定士の資格取得、ISO基準に則った研修プログラムを通じて人材の育成に取り組みます。

補助事業で設備への投資を行い、補助事業終了後5年で新規事業の売上比率10.2%、平均付加価値額5.3%増を計画しています。

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一般焼却処理場で発生する焼却灰の受け入れを目指します
~CO2の更なる削減と廃棄物のリサイクル推進~

セメント業界は、脱炭素社会の実現に向けてCO2排出量の削減と廃棄物の利用増を目指していますが、高塩素クリンカーパウダーはセメントの品質を損ねるため、リサイクルして使用するには塩素分の除去が課題となっています。当事業でこの課題を解決すると共に、自社製造の薬品を使い低価格で提供することで、セメントメーカーのCO2削減とリサイクル原料の使用を後押しします。

当社のクリンカーパウダーの処理技術を応用することで、一般焼却処理場で発生する焼却灰もセメント原料へのリサイクルが可能となります。今後は廃棄物処分業の許可を取得して、官庁関係のリサイクルを視野に入れ、地域に貢献していきます。

早期にセメント資源リサイクル事業を成功させ、次のステージである廃棄物専用の設備を導入して廃棄物(焼却灰)の受け入れを目指します。CO2の削減と、廃棄物を捨てずに活用するリサイクルの推進、ひいては持続可能な社会の実現に貢献したいと考えています。

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