採択事例紹介

ポーライト株式会社
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所在地
埼玉県さいたま市
主な業種
金属製品製造業
事業概要
粉末冶金法による精密ギヤ/含油軸受/特殊形状部品等の製造
設立
1952年
従業員数
約500人
認定支援機関
公益財団法人 さいたま市産業創造財団
URL
https://www.porite.co.jp/
製造業 新分野展開 グリーン成長枠

燃料電池用部品の製造技術を活かして水電解装置用インターコネクタ製造に新分野展開

当社は、自動車や家電、電動工具、冷却ファン等に幅広く使用されている精密ギヤや特殊形状部品を製造しており、粉末冶金法による高精度の成形技術を強みとしています。しかし製品の大きな割合を占める輸送機械やエンジン部品は、自動車のEV化が進み需要の減少が見込まれることから、新分野への進出が課題でした。

当社の製品のひとつに、粉末冶金技術を使って製造する固体酸化物形燃料電池(SOFC)用インターコネクタがあります。産業・業務用燃料電池で世界最大シェアの海外メーカーと一緒に開発を進める中で、この製造技術を転用すれば、今後伸長が予想される水素発電用の水電解装置(SOEC)用インターコネクタの製造が可能であることがわかりました。

これは、事業再構築補助金に新設された「グリーン成長枠」の応募要件「成長戦略14分野②水素・燃料アンモニア」の課題解決に該当することから、今回補助事業を活用して水電解装置用インターコネクタ製造という新分野に進出する決断をしました。

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特殊機械と粉末冶金ノウハウで均質・高精度な製品の大量生産を可能にし、効率化と低価格化を実現

水素発電に使用する水電解装置の重要部品・インターコネクタを製造するための設備を導入します。インターコネクタは高耐熱性と熱膨張特性、耐酸化性、そして強度が求められるため、材料にはクロム基合金を使用します。機械加工が難しい金属で、大型かつ複雑な形状のインターコネクタを製造するには鍛造や切削など従来の工法では困難ですが、当社の粉末冶金ノウハウと高圧力で成形動作をコンピュータ制御できる機械を導入することで均質で高精度な製品の大量生産を可能にし、効率化と低価格化を実現します

まずは、海外において水電解装置の市場基盤を持つ既存顧客に本製品を供給して実績を重ね、将来的にはこれをPR材料として日本国内の市場にも展開したいと考えています。

補助事業で設備等への投資を行い、補助事業終了後5年で新規事業の売上比率28%、平均付加価値額58.6%増を計画しています。

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水素発電のコスト低減と普及に貢献し、粉末冶金業界全体が大きく育つきっかけに

水素は製造・使用時にCO2を排出しないカーボンフリーなエネルギーで、国内で生産できて安定性に優れ、また大規模な貯蔵・搬送も可能なため、水から水素を作る水電解装置が将来のエネルギー技術として注目されています。水電解装置の導入・拡大に向けた課題は装置の大型化とコスト低減ですが、当社の技術を通じて大型・低価格の水電解装置インターコネクタ供給を可能にすることで、水素発電のコスト低減、ひいては水素エネルギーシステムの確立と普及に貢献します。

粉末冶金業界は自動車業界に育てられてきましたが、規模は小さくニッチな産業です。既存の事業から脱却して、注目度が高く将来性のある新しい産業に参入することは、業界にとって重要な夢のある話だと思っています。当社の新事業を知って粉末冶金を活用してみようというユーザーや業界が増えていけば、当社のみならず、粉末冶金業界全体が大きな産業に育っていくきっかけになるのではないかと考えています。

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